運動、食、環境を整えると相乗効果を発揮します

●相乗効果で運動機能が向上

運動で発達した筋肉と、褐色脂肪細胞の活性化による体脂肪の減少で運動能力
が大きく向上します。動物性主体の食餌は細胞代謝機能を活性化させ、激しい運動で傷ついた筋細胞も早期に回復させ、長時間の運動に耐える持久力のある身体にします。運動機能の強化も免疫力の向上に大きく寄与するのです。

●相乗効果で内臓機能が向上

運動によりすべての臓器が活性化して、動物性の食餌により内臓機能が強化さ
れ活性化します。さらに、温度環境に強くなることで脂肪の燃焼を促進させるため、内臓脂肪を減少させて生活習慣病にかからない身体にするのです。また、内臓機能の活性化は免疫力の強化にも連動しているのです。

●相乗効果がストレスを解消

犬の精神的ストレスの根本的な原因は、狼から受け継ぐ本能からくる運動と食
への不満です。充分な運動量と動物性の食餌で本能的なストレスが解消されます。
  イタリアでは精神衛生面から犬を1日3回の散歩を義務付けています。これは散歩がストレスを解消させるからで、温度環境への順応は寒さ暑さに影響されずに外出ができるので、ストレスが蓄積されないのです。あとは飼い主さんの愛情が、生活でのストレスを解消してくれます。ストレスは多くの疾病の原因となるなど、犬の健康に大きな影響をあたえる要因です。ストレスの解消も長寿への大きな要素となっているのです。ストレスが解消されれば優しさも増し、ほかの犬とも仲良くなれるのです。

●犬の寿命を縮めている大きな死亡原因を相乗効果で抑制、長寿化を推進させます

運動、食、環境改善の相乗効果は犬の体力や免疫力 が強化され精神面も安定するため、病気知らずの健全な身体へと大きく変ぼうします。健全な身体になると死亡原因の多くを克服できますから、犬本来の寿命である生理寿命にしたがって年を重ねられるため、健康で長寿が可能になるのです。
犬の寿命を短くしている主な原因は、右データが示すように人間同様、生活習慣病が主な死亡原因であることがわかります。
当方の調査でも多くあったのが突然具合が悪くなって急死するケースで、飼い主さんのほとんどは死亡原因の検査を病院に依頼しませんから原因不明となっている例です。生前の生活から体調不良までの状況を詳しく検証してみると消化器系、循環器、呼吸器系、など生命活動の根幹をなす臓器の機能低下が原因と思われるケースが多く、何と3分の1近くもありました。臓器の機能低下のほとんどは生活の悪習慣からきている生活習慣病です。犬も心疾患や脳硬塞、肝硬変など人間同様の生活習慣病で死亡するケースがきわめて多いのです。相乗効果は生活習慣病の原因を根本から解消しますから、ほとんど無視できるようになります。
飼い主さんが最も多く関心を持っているのが悪性腫瘍、いわゆる癌です。発癌する原因も生活習慣病から発展する場合がとても多いのです。死亡原因の上位にある消化器疾患や肝疾患、糖尿病などの生活習慣病は癌になる可能性も高いのです。これらの生活習慣病は相乗効果で予防されるとともに、細胞代謝も活性化しているため古い細胞の癌化も防ぐなど、癌になるリスクを大幅に低減させるのです。
感染症対策ではワクチンの過剰投与による弊害が問題になっています。ホルモンのバランスを崩したり、抗体ができなかったりする問題です。この問題の解決策として、ワクチンの限定と回数の制限を唱えていますが、感染のリスクが伴ってしまうのも現実です。相乗効果で免疫力が向上していれば、このリスクをかなり低減することができるのです。
犬が交通事故に遭う確率は人間よりひと桁上ですから大きな脅威となっています。事故に遭うのは、何が危険かの情報が犬にないためにおきるのです。運動の章で解説した方法で危険を犬に教えながら運動をしていると、犬は危険情報を学習しますからリスクを大きく低減させることができるのです。また、認知症など神経疾患は知能を使う運動をすることでリスクを回避できるのです。 
このように相乗効果は死亡原因のほとんどを抑制して、免疫力も向上するので寿命をのばせるのです。

生活習慣病が犬の主な死亡主因

犬の死亡原因の正確なデータは存在しません。元気だった犬が急変して死亡するケースは以外と多いのですが、死亡原因の検査を病院に依頼する飼い主さんは希です。不審死でも死亡原因を告知する法的義務もありませんから、死亡原因として公表されないケースが多いのも要因のひとつです。例えば公表されているペット保険会社の死因データでも、病院からの告知を元にしていると思われますから、本来の原因ではなく最終死因であったり、高齢犬のデータ対応不足があると思われますので、限定的なデータとなっているようです。そこで、本書が実施した詳しい死亡状況の聞き取り調査のデータと合わせて検証することで、実情に近い死亡原因を予想してみました。事故はくらす地域や環境による差があると思われますので本書調査では除外しました。その結果、消化器系を始めとする臓器機能の低下による疾患が最も多ことがわかかってきました。いずれも生活習慣病で、人間以上と思われる深刻な状況下に置かれているのが現在の犬なのです。

ペット保険のアニコム 独自の調査をあわせたデータ
1位 悪性腫瘍
13.2%
生活習慣病
消化器疾患 約12%
約32.0%
2位 事故
12.6%
循環器疾患 約8%
3位 感染症
8.2%
呼吸器疾患 約7%
4位 呼吸器疾患
6.6%
肝疾患 約3%
5位 消化器疾患
6.3%
泌尿器疾患 約2%
6位 神経疾患
6.1%
悪性腫瘍
13.2%
7位 循環器疾患
5.0%
事故
12.6%
8位 肝疾患
2.9%
感染症
8.2%
9位 泌尿器疾患
1.8%
神経疾患
6.1%

上記表の左はペット保険のアニコムのデータ。右は死亡原因が不明とされた案件を、生前の生活状態から容態が悪化するまでを詳しく聞き取り調査したデータを元に原因を予想したものです。本調査は東京での聴取ですので地域による差がありますが、ほぼ実状に近いデータではないかと考えています