肥満が解消しない

肥満は生活習慣病の大きな要因のひとつで主要死亡原因となっていますか
ら、最も注意したい事項です。肥満になる原因には運動量の不足、炭水化物の過剰摂取、温度調整機能の低下という3つの要素があり、これらが複合すると解消が難しくなるばかりでなく、生活習慣病など重大な疾病の要因になります。すべてを解消することが理想ですが、3つの内2つをクリアすると肥満解消の効果が飛躍的に高くなります。

●運動の質と量で解消

運動すると筋肉でエネルギーを消費するとともに、心肺機構から消化器系まですべての臓器でエネルギーを消費します。この運動を継続すると身体機構すべてが活性化するため基礎代謝も大きく向上するため、肥満解消の基本となる基本要素となっているのです。
犬は生理メカニズムの関係から運動をすることが義務ずけられているのですから、その必要運動量は人間よりはるかに多くを必要としています(運動の項参照)。エネルギーの消費は速度の二乗に比例しますから速度を上げると大幅にエネルギーを消費します。例えば時速4キロメートルで2キロメートル歩くのと、時速8キロメートルで走るのとでは4倍も消費が違ってきます。
例えば体重10キログラムの犬の場合、時速4キロメートル程度の散歩ではエネルギー消費量は1時間当たり20kcl(カロリー)、時速6キロメートルのウォーキングでは80kclとなりますから4倍、同じ距離でも2倍消費します。時速10キロメートルの自転車引きでは1000kclをはるかに超えて同じ距離でも4倍を消費、水泳では10倍も消費するなど、運動の質によりエネルギー消費量は大幅に変わリますから、運動の質と量が肥満解消のキーとなるのです。
小さいヨークシャーテリアの例では、時速10キロメートルの速度で自転車引の飼い主さんと4キロメートルの距離を毎日走っているのです。このため、肥満とは無縁であるばかりか、病気知らずの健康体で元気に暮らしているのです。



歩く散歩と水泳ではエネルギー消費が10倍も違うのです

 

●食の質で解消

犬のエネルギー物質は人間と同じブドウ糖で、消費しないブドウ糖は脂肪となって蓄積されますから、ブドウ糖の過剰生成が肥満の大きな要因になっているのです。
人間や草食動物は植物の炭水化物を分解してブドウ糖にしていますが、犬はネコ目に属する肉食獣ですから、蛋白質をブドウ糖に分解して使用する機構になってるため炭水化物を本来は必要としていません。蛋白質をブドウ糖に合成するには複雑な過程を要するため消費する量しか生成されないのでが、炭水化物は簡単にブドウ糖に合成されますから、炭水化物の過剰摂取が肥満の大きな原因なのです。
犬は雑食という大きな誤解が肥満を増長させているのです。犬は狼と同一系のDNAを持つ肉食獣ですから、穀類を噛めない歯や分解しずらい短い腸など、身体機構そのものが草食には不向きなのです。犬はエネルギー源の蛋白質をはじめビタミンやミネラルなど、栄養素の大部分を肉系から取得しているため、炭水化物を基本的に必要としていないのです。
したがって炭水化物のない肉食系の食餌にすることで、肥満の原因物質を除外できますから、肥満を確実に防止することができるのです。
炭水化物の過剰摂取の大きな原因がドライ系ドッグフードの成分にあり、その主要成分がコーンや小麦、大豆などの穀類がです。この穀類は体脂肪の基になるブドウ糖に合成される炭水化物が主成分であるため、消費しないブドウ糖は簡単に体脂肪となり蓄積されるのです。
確実に肥満を解消するには食餌を完全肉食にすることが理想ですが、ドライ系ドッグフードの量を2分の1以下の併用でも効果は上がります。肉食で注意しなければならないのが内容で、骨や内臓類、腱、皮など肉以外の部位を40パーセント以上、必須脂肪酸やミネラルなど植物由来の栄養素として緑黄色野菜を10パーセント程度加えてください。
詳しくは2の食餌を参照してください。



最も相応しい肉系の食餌は火をとおさない生ですが、入手性、保存性から調理したものとなりますが、注意したいのは、犬が歯や顎を使うように大きめにすることです

 

●環境で解消

ハリウッド映画の題材にもなった南極物語りのタロとジロがなぜ、酷寒の南極を生き抜くことができた理由は、褐色脂肪組織を活性化できたからです。褐色脂肪組織とは脂肪を燃料として血液を温めて全身を暖める温度調整機構のことで、犬は人間とは比較にならない高機能を備えているのです。この機能を活性化すると熱を発生するのですが、いわば燃料となるのが脂肪なのです。運動では脂肪をブドウ糖にもどして使うのですが、褐色脂肪組織ではなんと直接脂肪を燃やすのです。しかも、熱を発生させるには大きなエネルギーを必要としますから、大量の脂肪を消費してくれるのです。
この褐色脂肪組織を活性化させると、冬期だけでなく1年中働きますから太らない体質になるのです。したがって、よほどの大食いでなければ肥満にはなりません。
褐色脂肪組織を活性化させる方法は3の環境を参照してください。



最も相応しい肉系の食餌は火をとおさない生ですが、入手性、保存性から調理したものとなりますが、注意したいのは、犬が歯や顎を使うように大きめにすることです

 

 

褐色脂肪細胞を活性化させると、大量の脂肪を消費しますから、太らないたいしつになります